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温泉街裏手の土蔵を補修し、一夜限りの地元コミュニティスペースに

更新日:8月23日


水上温泉街の裏路地を分け入って進んでいくと、ちょっとした空き地に土壁のままの土蔵がポツンと残っていました。


置き屋根で少し軒が深く、どこか愛らしいプロポーション。随分と傷んではいるものの、いわゆる歴史的な建物の少ないこの温泉街の中ではなんとなく貴重なものに思われ、ずっと気になっていた存在でした。


縁あって持ち主の方に話を聞くと、大正のあたまにはここに建っていたと聞いている、と。当時の水上峡はまだ温泉旅館も少なく、川沿いには田畑が多く残っていたと記録に残っています。恐らくこの土蔵は、水上温泉街が急速に発展する以前のそうした農家住宅の暮らしを支える場所だったのでしょう。



もしかしたら、温泉街で一番古いかもしれないこの建物を、地域の小さなコミュニティの場として、スポットライトを当ててみたい。そして、これまで私たちが取り組んできた「旧ひがき寮」も含め、裏路地界隈に散策の魅力が隠れている温泉街を考えていくきっかけにもなるかもしれない。


物品を整理し、腐っていた床を取り除き、草を払い、庭木を整えていきました。土蔵の中には、ベンチ兼収納棚のような縁台をぐるりと設えました。持ち主の方のご理解もいただき、ご親戚や地元の方々のサポートもいただき、なんとか完成。先日さっそく小さな地元ビアガーデンイベントを催しました。



自分たちで手直しした蔵のまわりに、やさしい色温度の照明を設え、多くの方にお集まりいただき、美味しい食事とお酒を楽しみました。


あるグルメなお方がふと漏らした「ヨーロッパで見たワインやチーズの貯蔵庫を思い出すなあ」の一言は、さらなるポテンシャルを感じて嬉しくなった瞬間でした。


少しシロアリにやられてしまってる部分があったり、土壁や漆喰壁はまだまだ補修が必要な様子。少し手を加えれば素敵な場所になることを共有できたからこそ、今後も皆さんと一緒に補修ワークショップなどを開きながら、この土蔵の価値を継いでいけたらなと思っています。



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